被毛の役割

被毛とは犬や猫の体を覆っている毛のことを言い、体温を調節する役割があります。

夏は暑さを軽減するために被毛は抜け、冬は寒さに耐えるために被毛が生えてきます。人間が衣服で体温を調節するのと同じように、犬や猫も被毛で体温を調節しています。 また、被毛は外部の刺激から体を守るなどの役割も担っています。外で活動することが多い犬や猫は、紫外線や雨、病原体の感染など外部からの刺激を直接受けてしまいます。

犬や猫は皮膚が薄く、外部からの刺激を受けやすくなっているため、体を保護するという意味でも被毛は大変重要な役割を担っています。

被毛の種類

  • ■シングルコート

    被毛が一重構造になっているものをシングルコートと言います。シングルコートの犬や猫は毛が生えかわる換毛期がないので、比較的抜け毛が少ないのが特徴です。換毛期がないからといって毛が全く抜け落ちないというわけではありません。長毛種だとブラッシングやトリミングなどのお手入れを怠った場合、毛玉ができたり、臭いが発生する原因にもなりますので、こまめな手入れが欠かせません。

  • ■ダブルコート

    被毛が上毛(オーバーコート)と下毛(アンダーコート)の二重構造になっているものをダブルコートと言います。シングルコートとは違い、春や秋に換毛期があります。比較的短毛種が多いのですが、換毛期には下毛が多く抜けてしまいます。この時期にお手入れを怠ってしまうと毛玉ができ、その毛玉によって通気性が悪くなり皮膚病などの原因にもなりますので、注意が必要です。換毛期には毎日ブラッシングを行い、抜けた毛を取ってあげましょう。

犬猫の換毛期とは?

犬と猫の換毛期は、彼らの体温調節に関連しています。換毛期は主に季節の変わり目、つまり春と秋に見られますが、屋内で生活するペットでは年間を通じて一定の換毛が見られることもあります。

  • ■犬の換毛期

    犬の換毛期は品種や体調、気候により変わりますが、一般的には春と秋の2回見られます。春になると、冬の厚いアンダーコート(下毛)を抜けさせて夏用の薄い被毛に変えます。秋には、夏の薄い被毛を抜けさせて冬に備えた厚いアンダーコートに変わります。

  • ■猫の換毛期

    猫の換毛期も春と秋に見られます。春には厚い冬毛を抜けさせて薄く、夏に適したコートに変えます。秋には夏の薄い毛を抜けさせて厚い冬毛に入れ替えます。屋内猫の場合、室内の温度が一定であるために、年間を通じて均一に毛を抜けることもあります。

換毛期とブラッシングの効果

換毛期はペットが古い毛を抜けさせ、新しい毛が生えてくる自然なプロセスの一部です。この時期にペットのブラッシングを行うことにはいくつかの利点があります。

 ■抜け毛の管理

ブラッシングにより、抜けた毛を一箇所にまとめて取り除くことができます。これにより、家の中に散らばる毛を大幅に減らすことができます。

 ■皮膚の健康維持

ブラッシングはペットの皮膚の血行を良くし、健康な新しい毛の生える環境を作り出します。また、ブラッシングにより皮膚表面の汚れや古い皮膚細胞を取り除くことができ、皮膚病の予防にもなります。

 ■絆を深める

ブラッシングはペットとの絆を深める良い機会です。ブラッシングを通じて触れ合い、ペットとの信頼関係を深めることができます。

 ■健康チェック

ブラッシングを通じてペットの皮膚や毛の状態を直接確認でき、異常(皮膚病や外部寄生虫など)を早期に見つけることができます。

 ブラッシングはペットにとっても飼い主にとってもメリットがあり、換毛期に特に重要なケアとなります。

しかし、ブラッシングはペットの種類や毛質により適した方法やブラシを選ぶことが重要です。

ブラッシングで予防が出来る!

■毛球症の予防

猫は特に自分で毛づくろいを行うことが多いため、毛が飲み込まれてしまい、これが胃や腸に溜まると毛球症を引き起こす可能性があります。

■皮膚病の予防

抜け毛が皮膚に溜まると、皮膚疾患を引き起こす可能性があります。ブラッシングは毛皮と皮膚を清潔に保ち、皮膚病を予防します。

■新しい毛の成長を促す

ブラッシングにより、古い毛が取り除かれ、新しい毛の成長を促進します。これは健康的な被毛を維持するために重要です。

■毛玉の予防

特に長毛種の犬や猫は毛玉ができやすいです。定期的なブラッシングで毛玉を予防し、被毛を美しく健康的に保つことができます。

■衛生状態の維持

家の中や衣類への抜け毛の散乱を防ぐだけでなく、ブラッシングはペットとのコミュニケーション手段の一つでもあり、ストレス緩和にも役立ちます。

ブラッシングの定期的な習慣を是非とも心掛けてください!

ペットの抜け毛を放置すると

ペットの抜け毛を放置すると、様々な問題が起こる可能性があります。以下にその主なものをいくつか挙げてみましょう:

■衛生問題

抜け毛が家の中に散乱すると、清潔さが損なわれ、アレルギーや呼吸器疾患を引き起こす可能性があります。

■毛球症

猫は自分の毛を舐めて毛づくろいをしますが、これが抜け毛を大量に飲み込むと毛球症を引き起こす可能性があります。毛球症は消化管の閉塞を引き起こし、重篤な状況では手術が必要となることもあります。

■皮膚病

抜け毛がペットの皮膚に溜まると皮膚疾患を引き起こす可能性があります。また、皮膚の下に残った毛が毛孔を詰まらせ、皮膚感染症や皮膚病の原因になることもあります。

■室内の清掃の手間

ペットの抜け毛が散乱すると、家具や床、衣服などからこれを取り除くのに時間と手間がかかります。

​これらの問題を防ぐためには、定期的なブラッシングでペットの抜け毛を取り除くことが推奨されます。

これによりペットの皮膚の健康を保つとともに、室内の清潔さも維持することができます。